神奈川県大磯町は、大隈重信、陸奥宗光、安田善次郎、池田成彬、吉田茂邸など明治以降、多数の政財界人が別荘を構えました。当時の大別荘群の一部は今なお残され、海浜の松林とともに保養地としての面影を今に伝えています。そのなかで、エリザベス・サンダースホーム(旧岩崎邸)を訪れました。場所は大磯駅から徒歩2分ぐらいのところです。第二次世界大戦後の1948年、三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の孫娘である沢田美喜が、財産税として物納されていた岩崎家大磯別邸を募金を集めて400万円で買い戻して、孤児のための孤児院として設立した施設です。ホームは、戦後日本占領のためにやってきたアメリカ軍兵士を中心とした連合国軍兵士と日本人女性の間に強姦や売春、あるいは自由恋愛の結果生まれたものの、両親はおろか周囲からも見捨てられた混血孤児たちのための施設でした。施設の名前は、ホーム設立後に最初の寄付をしてくれた聖公会の信者エリザベス・サンダースにちなみ、「エリザベス・サンダース・ホーム」と名付けられました。ホームの孤児たちも、もう初老の年齢です。