「ツトムさん家の写真日記。」より引用
京都ホテルオークラで医師会の先生方と待ち合わせて祇園一力亭に向かいます。本当はタクシーで行くはずだったのですが秋の観光シーズンで京都の街中が観光客であふれかえって車が動かないので徒歩で行きました。一力亭は創業300年。赤穂浪士の大石内蔵助も、敵の目を欺いて遊び呆けているふりをするためにここで遊興しました。もちろん一見さんお断りの格式の高いお茶屋さんです。今日の宴会は、医師会長が縁故を頼って1年半前に予約しました。一番広い部屋に通されて、舞妓さんが登場。宴会がはじまりました。料理を出している舞子さんの緑色の帯を見ると後ろに垂れ下がっています。これは「だらりの帯」と言って、舞妓さんの特徴です。出てくる料理はここで作っているのではなく、近くの仕出し屋さんで作ったものを持ってきているそうです。一番下の写真、舞妓さんの口紅が下くちびるにしか塗っていません。これはまだ駆け出し(半玉)の舞妓さんの化粧作法で、申し訳ないですが少し異様な感じもします。その手前にある大きな徳利には水が入っています。その水を隣の器に注ぎ、あることに使います。舞妓さんもお客さんから勧められたらお酒を飲みます。でも、舞妓さんはお猪口を持っていません。それではどうするかというと、お客さんのお猪口で飲むのです。そのあとお猪口をお客さんに返すのですが、そのままでは返さずに器に入れた水で漱いで返すのです。何とも粋な振る舞いです。衛生的にどうなのかという疑問は、野暮としたものでしょう。
それから、舞妓さんは20歳までしか出来なくて(そのあとは芸妓になる)高卒では間に合わず全員が中卒です。それで、大人の男のお座敷の相手をするのですから、苦労が多いと思います。髪の毛も一週間に一度結ったら洗髪できず、寝る時も型崩れしないように時代劇に出てくるような高枕で寝るそうです。