時系列は前後するのですが、2019/12/31~2020/1/1にチャレンジした「JR東京近郊区間・2019年末~2020年始 最長大回り」をアップします。
12/31、早朝発行の常磐線・北小金駅の140円切符を見て、ピンときた方もいるのではないでしょうか?
このお話は約45年前、dr100が中学生の頃に遡ります。昭和51年に出版された「新・時刻表に強くなる」(清水晶・著)<読売新聞社刊>という本があります。
その本の中で、「日本一安い旅・長い切符」(60円で458キロの旅)というコーナーがありました。
「60円で458キロの旅」のコーナーで、dr100が清水氏に報告したレポートが採用されたのです。著者から初版本を進呈され、とても嬉しかったことを覚えています。
ここで少し説明をすると、東京近郊区間は路線が入り組んでいるので、同エリア同士の駅間の乗車券は度の経路を経由しても「最短距離」で計算するというものです。ただし、エリア外を経由すること、同じ駅を2回通ることは許されず、切符の有効期間は当日限り(終電まで)です。乗車駅と降車駅の駅間は、最低料金の設定されている3km未満です。当時のJR東京近郊区間の範囲は今よりも狭く、乗車距離は両国~神田の458.0kmでした。もちろん、その日のうちに終わらせることは可能でした。中学生当時のdr100も、両国駅を5:01に出発して神田駅に22:51にgoalできました。
あれから45年が過ぎ、新線の開通もありましたが、近郊エリアの拡大が大きく作用し、最長距離は北小金~馬橋間の1035.4kmに伸びました。ちなみに、北小金~馬橋間は2.9kmで、最低運賃の140円です。ただ、これを一日で走破するのはダイヤ上、不可能で、時刻表をたどると常磐線の北小金駅を早朝に出発すると、総武本線と成田線の分岐駅の松岸駅までしか、その日のうちに行けません。ただし、1年に1回だけ可能になる日が毎年あるのです。それが、12/31-1/1なのです。大晦日の首都圏JRは終夜運転をしている関係で、12/31購入の切符の有効期間が12/31終電までではなく、1/1終電までに伸びるのです。これなら、完走可能です。百名所めぐりも一段落したdr100は、45年前の思い出を胸の奥に秘め、JR東京近郊区間・2019年末~2020年始 最長大回りを実行することになりました。
dr100の自宅の最寄り駅から北小金駅までは10分少々です。大晦日の早朝でまだ暗く、「同業者」は誰もいませんでした。
これから35時間余り、改札口の外へは出れません。悲壮な覚悟で切符を自動改札機に投入しました。
1本目 北小金0517~常磐線・403K~0528我孫子 今回9.3km/総計9.3km
2本目 我孫子0542~常磐線・321M~0643友部 今回67.5km/総計76.8km
おなじ常磐線でも、北小金は緩行線の駅ですが友部は遠距離列車の駅なので、柏または我孫子で乗り換えますが、ホームに暖房のきいた待合室のある我孫子駅で乗り換えました。まだ暗いのですが、今晩が2回目の暗闇、明日goalすることには3回目の暗闇が迫ることに、この旅の長さが思いやられます。
3本目 友部648~水戸線・730M~751小山 今回50.2km/総計127.0km
4本目 小山0800~両毛線・上越線・440M~0950高崎 今回91.7km/総計218.7km
乗車距離91.7kmと乗車時間1時間50分は、今回の最長です。高崎駅の八起屋で、カレーライス490円の朝食。
5本目 高崎1014~高崎線・4827Y~1126大崎 今回74.7km/総計293.4km
さすがに本線筋で、乗客も多かったです。初日の午前中で、すでに300km走破です。
6本目 大宮1131~川越線・1081F~1154川越 今回16.1km/総計309.5km
大宮と川越がわずか16.1kmしか離れていないのは、新発見でした。
7本目 川越1206~川越線・八高線1267H→1266E~1312八王子 今回45.6km/総計355.1km
川越から八王子へ乗り換えなしで行けるのも意外でした。八王子駅の「いろり庵きらく」で360円のざるそば。「年越そば」としました。
8本目 八王子1340~横浜線1302K~1353橋本 今回8.8km/総計363.9km
9本目 橋本1359~相模線1364F~1456茅ケ崎 今回33.3km/総計397.2km
途中の宮山駅で、寒川神社の参拝者がたくさん乗ってきました。まだ、大晦日なのですが。
10本目 茅ケ崎1456~東海道本線3528E~1506大船 今回12.1km/総計409.3km
相模線の茅ケ崎到着は定時の1456でしたが、東海道本線の3528Eは3分ほど遅れたので乗車できました。
11本目 大船1512~根岸線・東海道本線1536B~1553鶴見 今回29.2km/総計438.5km
だんだん、ふらふらしてきました。
12本目 鶴見1600~鶴見線1609~1613浜川崎 今回5.7km/総計444.2km
鶴見駅では東海道本線と鶴見線の間に中間改札(自動改札)が設置されています。鶴見線のエリアが無人だからです。精算所で「大回りです」と申告し、脇の通路を通してもらいました。浜川崎駅は道路を隔てて二つの同名駅が接しており、たとえ大回りの乗客でもいったん外へ出れますが、3分乗り換えなので「娑婆」の雰囲気をゆっくり堪能する時間はありません。
13本目 浜川崎1616~南武線1603H~1624尻手 今回4.1km/総計448.3km
尻手駅のホームの「金網柵」の向こうに見えた牛丼屋さんが、やけに眩しく見えました。
14本目 尻手1631~南武線1510F~1633川崎 今回1.7km/総計450.0km
乗車時間2分は、今回の最短時間です。
15本目 川崎1640~東海道本線1890E~1649品川 今回11.4km/総計461.4km
品川駅は、さすがに賑やかです。TOKYO豚骨BASEで白豚骨ラーメン810円を食べました。
16本目 品川1722~東海道本線1509S~1732武蔵小杉 今回10.0km/総計471.4km
次は品川から武蔵小杉に向かうのですが、ここでルール上のトラップがあります。一見、品川から山手線で大崎に出て、そこから湘南新宿ラインで武蔵小杉に向かうほうが距離が稼げるように思えます。かりに、品川から山手線で大崎に行き、大崎から湘南新宿ラインで武蔵小杉まで乗車したとします。大崎~武蔵小杉間は物理的には品川を経由していませんが、大崎~西大井間は運賃を計算するためのキロ数が設定されておらず、運賃計算ルール上は大崎〜品川〜西大井~武蔵小杉の経路で計算されます。品川~大崎~西大井~武蔵小杉は運賃計算ルール上では、品川駅を2回通ってしまうことになるので大回りのルールに抵触するのです。現実に、大崎駅で武蔵小杉までの乗車券を購入すると、大崎~品川の2kmと品川~武蔵小杉の10kmを加えた12km、220円の切符が発行されます。なお、一部のネット記事では「旧蛇久保信号場は品川駅構内だから品川駅を2回通るので片道切符にならない」との記載もありますが、旧蛇窪信号場は大崎駅構内です。
武蔵小杉駅の東海道本線と南武線のホームは440mも離れており、ずいぶん歩きました。
17本目 武蔵小杉1748~南武線1753F~1832立川 今回28.0km/総計499.4km
立川駅では、菓子パンを4つ買いました。明日の房総半島一周では食料が全く供給できないことを見越して、ここで補給しました。
18本目 立川1837~中央本線1812H~1842西国分寺 今回4.7km/総計504.1km
19本目 西国分寺1850~武蔵野線1841E~1916武蔵浦和 今回25.9km/総計530.0km
強風の影響で、川越線や武蔵野線に遅れが出ていますが、本日の計画には余裕があるのであまり心配していません。東所沢駅と新座駅間(東所沢駅から駅へ1.8km地点)で、1035.4kmの中間の517.7km地点を通過しました。
20本目 武蔵浦和1932~埼京線1968K~1946赤羽 今回10.6km/総計540.6km
スタートからゴールまで39本の列車を乗り継ぐ予定なので、この列車がちょうど半分です。
21本目 赤羽1957~東北本線1866A~2010南浦和 今回9.3km/総計549.9km
ホームで次の電車を待つときの寒さが、身に染みてきました。
22本目 南浦和2014(定2004)~武蔵野線1943E~2056(定2049)西船橋 今回40.1km/総計590.0km
途中、武蔵野線と常磐線の交点の新松戸駅を通ります。今朝出発した北小金駅がわずか1.3km東、明日のgoalの馬橋駅がわずか1.6km西にあり、不思議な感じです。
23本目 西船橋2103~総武本線1908C~2126千葉 今回18.6km/総計608.6km
今回の旅行の「ナイトステイ」をどこでしようかと考えており、千葉駅も後方に上がっていました。改札内のニューデイズが大晦日は終夜営業とのことで心が動きましたが、千葉駅の構造がそうなっているのか、寒風の吹きすさびが屋内なのにやけにひどく、予定通り成田に移動することにしました。
24本目 千葉2204~総武本線・成田線4993F~2235成田 今回29.2km/総計637.8km
一日目のラストランナー総武本線・成田線4993Fで成田駅に到着し、ここで一夜を過ごします。
成田駅で「ナイトステイ」(笑)です。終夜運転しているとはいっても夜行列車が走っているわけではないので、どこかの駅で夜を明かすことになるのですが、最長大回りのチャレンジャーは、ほぼ例外なく成田駅をチョイスしています。ダイヤ上は銚子駅の一つ手前の松岸駅まで行けるのですが、松岸駅では寝袋がないと夜明かしできません。馬橋から北小金を目指す「反対コース」も成田駅でナイトステイとなるのでしょうが、二日目がきつい馬橋→北小金コースをやるひとはあまりいないようです。成田駅の待合室は、つわものが黙々と座っています。22:48、今回の旅行の時間的中間地点を過ぎました。年越しの瞬間も、だれ一人ピクリともしませんでした。00:36、千葉駅方面から2番線に到着した1421Mが「列車待合室」として開放され、到着と同時に乗り込み、ロングシートに横たわりました。体勢は楽なのですが、片面4か所の扉のうち1か所が開放されており、容赦なく寒風が車内に吹きこんできて、まんじりともしない一夜を過ごしました。「逆浦島現象」つまり、ツラい状況で、時間の経過が実際より長く感じる現象も、出現しました。
25本目 成田0521~成田線423M~0639松岸 今回62.3km/総計700.1km
やっと寒さに悩まされた厳しい一夜が明けました。JR東京近郊区間・2019年末~2020年始 最長大回りにチャレンジしている人が何人いるかはっきりとわかるのはこの区間です。早朝にも関わらす立ち席の出る盛況で成田線423Mは成田駅を発車。松岸まで地元の人以外ほとんど降りませんでした。松岸駅で大量下車。ほぼ全員大回りチャレンジャーです。人数は約百名。女性も3名ほどいました。年代は10代~70代でした。これだけの人を各人1000km以上載せても140円×100名=1万4千円しかもらえないのですから、JR東日本が可哀そうになりました。
26本目 松岸0654~総武本線332M~0748成東 今回40.4km/総計740.5km
松岸駅を発車した瞬間は、「鉄ヲタ」成分は、ほぼ100%でした。
27本目 成東0803~東金線1630M~0821大網 今回13.8km/総計754.3km
房総各線の中では比較的短距離の東金線で大網へ。大網駅のニューデイズも改札の外にあり、ルールで利用できません。房総半島は食料入手困難なのです。大網駅のホームでは、私より年配の男性に声をかけていただき、「新・時刻表に強くなる」のエピソードも話しました。
28本目 大網0842~外房線237M~1013安房鴨川 今回70.4km/総計824.7km
外房線は海の眺めがよいイメージがありますが、実際に海が見える区間は多くありません。
29本目 安房鴨川1042~内房線3126M~1124館山 今回33.5km/総計858.2km
館山駅は南欧風の駅舎でした。もちろん、改札外には出られませんが・・・。
30本目 館山1147~内房線2128M~1245君津 今回47.6km/総計905.8km
写真は撮りませんでしたが、館山駅周辺は昨年の台風で被害にあい、屋根にブルーシートをかけている民家が多数ありました。木更津行きですが、一つ手前の君津で乗り換えたほうが先行だとのアナウンスがありました。
31本目 君津1250~内房線4264F~1331蘇我 今回38.3km/総計944.1km
蘇我駅に到着。成田駅での寝不足による疲労と房総半島の食料入手困難による低血糖にやられたのか、少年がホームにうずくまって嘔吐しており、連れの友人が介抱していました。遊びも、命がけです。goalまであと、100kmを切りました。
32本目 蘇我1334~京葉線1306A~1416東京 今回43.0km/総計987.1km
東京駅に到着。goalが見えてきました。
33本目 東京1441~総武本線1429F~1449錦糸町 今回4.8km/総計991.9km
東京駅では京葉線のホームと総武線のホームが非常に離れており25分の接続でした。
34本目 錦糸町1453~総武本線1493B~1500秋葉原 今回3.4km/総計995.3km
寝不足でボーっとして、反対方面に乗ったり、おり損ねてしまったら一巻の終わりですので、慎重になります。
35本目 秋葉原1504~山手線1415G~1506神田 今回0.7km/総計996.0km
所要時間2分は昨日の尻手~川崎と並んで最短です。また、乗車距離0.7kmは今回のチャレンジで最短距離です。45年前の達成駅、神田に到着。感慨に浸る間もなく、次の列車に乗ります。
36本目 神田1509~中央本線1573T~1522新宿 今回9.0km/総計1005.0km
飯田橋駅から市ヶ谷駅方面に1kmの地点で、1000kmを突破しました。
37本目 新宿1526~山手線・東北本線1523G~1547日暮里 今回11.3km/総計1016.3km
38本目 日暮里1555~常磐線399M~1611松戸 今回15.7km/総計1032.0km
あと一本です。
39本目 松戸1615~常磐線1511S~1619馬橋 今回3.4km/総計1035.4km
ついにgoal!所要時間は35時間02分でした。北小金駅出発のときは「同業者」はいませんでしたが、ゴールの馬橋駅では大勢いて、駅名表を撮影していました。念のため切符を自動改札に入れてみましたがもちろん、はじかれました。有人改札では係員が慣れた対応で無効印を押してくれ、切符は手元に残りました。35時間ぶりに「改札外」にでて馬橋駅の外観をスナップし、素直に買えば12640円に相当するチャレンジは終了しました。