dr100の一の宮・百寺巡礼・続百名城旅日記

百名城、百名橋、百名建築、百名公園、桜の名所百選、東京23区内一丁目一番地などを訪問しました。一の宮、百寺巡礼、続百名城も完訪。発祥の地、見学施設(博物館、記念館など)、寺社仏閣の御朱印もやっています。皆様のコメントが励みになりますので、よろしくお願いいたします。

ここまでのまとめ

百名城、百名橋、百名公園を完訪し、百名建築もあと一か所の時点で、私の所属する医師会から医師会誌になにか書くように言われたので、一連の旅行の総括的なことを書きました。以下に転載しますが、一部の地名は伏せ時にしてあります。

日本百名城・百名橋・百名公園・百名建築完訪を目前にして
はじめに
平成20年12月号の医師会誌の巻頭随筆で宣言した日本百名城・百名橋完訪を、意外に早く、先日(平成22年7月19日)、金沢城犀川大橋をもって達成した。ついでに始めた百名公園も同日、兼六園をもって百か所すべてに足を印し、百名建築も残すところあと一か所(伊豆の長七美術館)を残すのみとなった。つまり、現時点で400か所のうち399か所の訪問を終えたところである。克明に訪問記を記したいところだが、一か所につき原稿用紙1枚としても2000字の字数制限では毎月医師会報に投稿しても6年余りかかってしまうので現実的ではなく、6000字のスペースを与えられた本特集号において、データから総括的に足跡を振り返ってみたい。
動機
 動機は前回の巻頭随筆で述べたように鉄道の完乗を果たしてから好きな旅行のテーマがなくなってしまっていたところ、医師会旅行の仙台城をきっかけにして百名城、百名橋巡りを思い立ち実行していたが、公園や建築にも百選があることが分かり、ついでにその2項目についても完訪を目標とした。ほかにも、名水、温泉、名木など百選があるが、いずれも登山のスキルがないと訪問できない個所が含まれているので、上記の4項目に絞った。鉄道だけ乗ればいいのなら時刻表でプランニングできるが、さらにバスに乗り継ぐ要素があるとインターネットのバス会社のホームページの助力なしにはこれらの旅行のプランニングは不可能であり、実行もできなかったであろう。インターネットの力は大きい。
ルール
 城に関しては、財団法人日本城郭協会の設置した百名城スタンプをオフィシャルのスタンプ帳に押し、かつ、城の名前が入った石碑等をバックに自分の顔が入った写真を撮ることで訪問済みとした。橋、公園、建築に関しては名前の入った(橋名、公園名、建築名)看板をバックに自分の顔が入った写真を撮ることで訪問済みとした。
ポリシー
 診療所を臨時休診にしてまで旅行に出かけなかった。また、夜行バスや夜行列車で月曜日の朝、○×に帰ってくるのも遅れ等で仕事に穴をあける可能性があり、禁じ手とした。また、クリスチャンなので一カ月に4回巡ってくる週末のうち3回は教会に行き、残りの一回の週末を旅行に充てた。できるだけ費用を安く上げるために泊まりは最低限度のビジネスホテルとし、交通費も、安いフリーきっぷ等を有効に活用した。食事も、特に現地の名物は意識して食べようとはせず、余計な出費はしないようにした。また、一回の旅行でできるだけ多くのポイントを訪問するため一か所に長居はせず、写真を撮ったらすぐに次の場所に移動することにした。
旅行の回数、日数
日帰り=19回、0泊2日=7回、1泊2日=6回、1泊3日=2回、1泊4日=1回、
2泊3日=4回、3泊5日=1回、4泊5日=1回。合計旅行回数=41回、のべ旅行日数
77日であった。なお、1泊4日というのは、1日目と3日目の夜は夜行バスの座席で過ごし、2日目の夜だけホテルのベッドに寝たという意味である。夜行列車は一部を除きほぼ全滅しているので、使った夜行はすべてバスであった。
移動手段
 貸自転車=1回、船舶=5回、タクシー=119回、鉄道=709回、バス=147回、飛行機=15回、ロープウェイ=6回の、合計1002回、交通機関を利用した。
費用
 総費用は、1287935円であった。
交通費に関しては、貸自転車=500円、船舶=1260円、タクシー=355800円、鉄道=412120円、バス=163790円、飛行機=212120円。宿泊費に関しては、のべ24泊、107355円。
入場料に関しては、のべ11か所4590円。
なお、食費も最初は統計をとっていた(1日平均1500-2000円ぐらい)が、途中でやめた。○×にいる時よりもむしろ安いと思われるし、もっと安くあげようと頑張りすぎると体に悪いからである。
最初に訪問したポイント
百名城:江戸城 (H20.12.7)
百名橋:水郷大橋 (H20.12.6)
百名公園:東京都立上野恩賜公園 (H21.6.7)
百名建築:東京文化会館 (H21.6.7)
最も遠いポイント
百名城:チャシ跡群(北海道・根室) 首里城(沖縄・那覇
百名橋:旭橋(北海道・旭川) 天女橋(沖縄・那覇
百名公園:常盤公園(北海道・旭川)東平安名崎公園(沖縄・宮古
百名建築:北海道開拓記念館(北海道・札幌)沖縄コンベンションセンター(沖縄・那覇
最も感動したポイント
百名城:姫路城 巨大な建造物が、江戸時代から現存で残っているのは奇跡的。
百名橋:瀬戸大橋 明石海峡大橋 やっぱり橋は雄大さが一番。
百名公園:音無親水公園 王子駅から1分、都会のオアシス。
百名建築:広島平和記念資料館 65年前の惨事に思いを馳せる。
最も訪問に苦労したポイント
百名城:備中松山城(岡山) タクシーを林道の終点で降りてから30分歩く。
百名橋:御幸の橋(愛媛) 坂本竜馬脱藩の橋。四国の山奥でタクシー代18000円。
百名公園:うしぶか公園(熊本) 天草の奥。ローカルバスとフェリーを何本も乗り継ぐ。
百名建築:瀬戸内海歴史民俗資料館 (香川) 浪合学校(長野) タクシー代10000円。
飛行機について
むかしより、遥かに手軽な乗り物になった印象。「早割」を利用すれば、北海道や沖縄でも12000円ぐらいで行ける。早さは圧倒的。台湾海峡をはさんで台湾と200kmの宮古島の空港ロビーに午後8時にいたのに、その日の晩には○×の自宅の寝床に入っているのは江戸時代の人が聞いたら信じられないだろう。定時性はやや劣る。とくに出発のとき、必ず遅れてくる人がいる。空港内で呼び出しのアナウンスを受けて、先に乗った乗客の痛い視線を受けて、あたふたと乗り込んでくる。機内サービスは低下した。ドリンクは、去年は無料だったのに、今はオレンジジュースがなんと500円(千疋屋)。夜、羽田に到着する便は、必ず右側の窓際を予約しよう。木更津から東京湾を西に降下するときに右側に見える夜景は何度見ても絶品。
夜行バスについて
大連休の渋滞方向以外なら、定時性は意外に良い。コスト面では抜群。料金が安いうえに、ホテル代が浮く。しかも、現地で早朝から動ける。横4列はしんどいが、横3列ならまあまあ寝られる。トイレも付いているので安心だ。消灯時間以後は遮光性のカーテンを閉めなければならないので、夜の高速道路の景色は眺められない。夜中のサービスエリアで20分ぐらい外に出してくれることがあるが、どんな観光地のお土産屋さんよりもサービスエリアの売店の方が、じつはお土産のラインナップが充実していることに気づく。寝るときはフルリクライニングにするが、後ろの人に結構気を使う。リクライニングする空間は自分の領分だからどうどうと倒せという意見もあるが、今のご時世、この人がと思う人が急に「きれ」たりするので、要注意。
路線バスについて
最近の路線バスはハイテク化が進んでいる。乗車時に発行される整理券もただ数字が書いているだけではなく、バーコードが入っている。降車時に整理券をまず入れると、料金が表示され、その後お金を入れると投入額が表示される。10円の取りこぼしもないようにできている。運転中のドライバーに話しかけるのはマナー違反だが、地元のばあさまは、そんなの気にしないので、運転手の注意がそがれないか不安になる。ローカルな路線は1日3便とかなので、そのバスに乗れるように日程を組むのに苦労する。
タクシーについて
お金はご存じの通り一番かかる。この旅のシリーズの最初のころはなるべく乗らないようにしていたが、前述のごとく、結局120回近く乗ってしまった。お金のかかる欠点を補って有り余る利点がいっぱいある。
1. 時間に左右されない。駅に到着した1分後には、車中の人に。路線バスでは無理。
2. 路線バスの走っていない早朝、深夜でも利用可能。
3. 路線バスより速い。目的地までピンポイントで行ってくれる。
4. 路線バスの設定のない目的地にも行ける。
等々、路線バスにこだわれば北海道に3回行かなければならないところをタクシーを使うことによって2回行けばすむなど、むしろ経済的な面もある。しかし、駅から公園に行って写真を1枚写してまた駅にとんぼ返りするなど、普通の人はあまりしないようなタクシーの使い方をするので、運転手にいぶかしがられるのが欠点だ。「何かの雑誌の取材ですか?」と、カマをかけてくるパターンが多いが、「ただの道楽です」と、返事をしている。ただし、夜10時を過ぎて、駅前から公園経由でまた同じ駅にトンボ帰りをする旨、乗車時に告げると相当気味悪がっているのがこちらにも伝わってくるので、そのときは「百名所巡りをしているのですがめったにこんな遠くには来れないので、一日をめいっぱい使って朝から晩までガツガツ訪問しているのでこんな夜遅くになってしまったのです」と、正直に告げざるをえかった。
鉄道について
定時性では一番信用できる。たとえば、鉄道からバスへの乗り換えは5分あればできるが、反対にバスから鉄道への乗り換えは時刻表の上で5分あっても、たいがいは無理としたものである。フリー切符も充実しているので、下調べをしてゆけば、結構安く乗れる。「スルッと関西」フリーきっぷなどはその白眉だろう。東は京都から西は姫路、南は和歌山までほとんどの私鉄と路線バスが2日間乗り放題で、3800円。関西の人がうらやましい。また、目的地までの切符をただ漫然と買うのでなく、分割購入をすれば安くなる場合があるので、インターネットの分割購入プログラム(http://bunkatsu.info/)などを利用して、少しでも安くあげた。たとえば東京駅から大阪行きの夜行バスに乗る場合、○×駅から東京駅まで普通に買うと620円だが、○×-金町(290円)、金町-東京(290円)と分けて買えば、580円で済み、40円安い。○×から新宿までも、普通に買えば690円だが、○×-北松戸(210円)、北松戸-南千住(210円)、南千住-新宿(210円)と分割購入すれば60円安い630円だ。
ホテルについて 
原則としてじゃらんのサイトで予約した。平均一泊4473円は、シングルユースのビジネスホテルとしては、こんなものだろう。最近のホテルは朝食付きなのだが、いつも早朝にチェックアウトしてしまうので、朝食の恩恵にあずかることはほとんどなかった。事前に口コミなどをしらべるので、大外れはなかったが、じゃらんのエリア外の北海道・木古内のそば屋兼業のビジネスホテル?は、いただけなかった。共用の浴場しかなく、垢すりタオルまで「共用で使いなさい」とぶらさげてあり、直前に使った人のしずくがしたたっていた。どのホテルもチェックイン時のフロントの対応はおおむね良好だったが、夜遅く疲れきってホテルにたどり着いたのに、住所電話番号から書かせるのは勘弁してほしかった。住所電話番号は、じゃらんに登録してあるので分かっているはずである。
証拠写真の撮影について
カメラの趣味はないが、必然的にカメラとのお付き合いが増えた。昔と違ってデジカメなので、その場で顔と看板がちゃんと映っているか確認できる。これは大きい。ひとり旅なので最初は三脚を持って行ってタイマーで撮影した。でも、これが結構恥ずかしい。有名な観光地ならいいが、百名建築には選ばれているものの、ほとんど無名の建物の前で撮影をしていると、道行く人が「この人は何をやってるんだろう」と訝しげな顔をして通り過ぎてゆく。あまりにも恥ずかしいので後半はサッと左手で自分撮りをした。最初は顔と看板がうまく入らなかったりしたが、だんだんに百発百中に上達した。
旅行中の健康管理について
プランニングの段階で食事時間は一切考慮していないので、タイトな乗り継ぎが続くとコンビニのサンドイッチやおにぎりがたよりになる。それでも買えればいいほうで買えなければ低血糖が待っている。そのため非常食が必要となるが、条件として、あまりかさばらないもの、保存のきくもの、血糖を補充してくれる甘さがあるもの、ある程度おなかにたまるものがあげられる。飴は、最後の一項目が失格だ。何度か試行錯誤するうち、コンビニのお菓子コーナーでたいてい売っている「イモけんぴ」が、最善であるという結論に達しいつも携帯した。冬の寒さは重ね着で対処した。厚手1枚より薄手3枚のほうが温かく、調節もこまめに効くことが分かった。暑さのほうはもともと暑がりなので難渋した。対策としては歩けると思っても無理をせずタクシーに乗ること、早めにイオン飲料を飲み、脱水を予防することなどで対処した。冬に使うホッカイロは数時間持つが、夏用のクールカイロは5分ぐらいしか冷たさが持続せず、ほとんど役に立たなかった。睡眠に関しては疲れすぎてかえって眠れないときもあったが、「夜行バスよりは幾分ましだ」と自分に言い聞かせて乗り切った。
おわりに
お盆休みの家族旅行で8月15日に訪れる松崎の「伊豆の長七美術館」をもって、今回の100×4=400名所巡りはめでたく終了する。この医師会誌が出る頃には終わっているだろう。ここまで読んでくださった先生方がだれでも思うように、旅行というよりはむしろ修行に近かった。低血糖、睡魔、脱水との闘い、タイトな乗り継ぎが間に合うかのイライラ、タクシードライバーへの羞恥を込めた言い訳。どれをとってもカラダや心によくなさそうなものばかりで、旅行に出かける前は、あまりうきうきした気持ちにはなれなかった。達成感もさほどなかったし。これからの目標だが、日本の都市景観百選(現在68か所訪問済み)と、日本の桜の名所100選(現在47か所訪問済み)の完訪をめざして時刻表いじりにいそしんでいる。私の旅はまだまだ終わらない。